万葉集の植物たち

浜北万葉の森公園が好きです。万葉集の植物について書いていきます。

アブラナ(ナノハナ)

f:id:manyokusaki:20220202111848j:image万葉の森公園のアブラナアブラナ弥生時代から食用として栽培されていたという。万葉集では「くくたち(茎立)」。茎が立ち上がる姿が名前の由来らしい。

上野(かみつけ)の佐野の茎立折りはやし吾(あれ)は待たむゑ今年来(こ)ずとも  巻14-3406

「上野の佐野の茎立ちを折って料理を作り、私は貴方を待ちましょう。たとえ今年貴方がいらっしゃらなくても。」

ニッポンタチバナの起源

f:id:manyokusaki:20220201125655j:image昨年11月に「タチバナの起源 沖縄だった」という記事が新聞に載った。最近のゲノム解析の結果、日本古来のニッポンタチバナと沖縄古来の柑橘類シークァーサーが同じ親を持つことがわかったという。古事記では不老不死の「トキジクノカクノコノミ(非時香木実)」は海の彼方の理想郷「常世の国」から日本に持ってこられたことになっている。ということは古代人は「常世の国」は南の海の方にあるとイメージしていたのかもしれない。(写真は万葉の森公園)

ときじくのかくのこのみ ニッポンタチバナ

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古事記には垂仁天皇が田道間守を遣わして常世の国から不老不死の霊薬「ときじくのかくのこのみ」を持ち帰らせたという話がのっている。そして「ときじくのかくのこのみ」はニッポンタチバナのことだという。ニッポンタチバナは日本に昔からある柑橘類で「ヤマトタチバナ」とも呼ばれる。写真だと大きさがわからないが実は直径3センチ程で、ミカンを可愛くしたような感じ。万葉の森公園で見ることができる。

ヤドリギ 

 

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ミズメの木の高い枝にヤドリギ(万葉集では「ほよ」)が寄生している。右の上に鳥の巣のように見えるのがヤドリギ。ふつう高い枝に寄生するので近くから見れないけど、万葉の森公園ではすぐそばで観察できますよ。f:id:manyokusaki:20220121121636j:image

もっと接近すると、

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丸く見えるのは実。鳥がこの実を食べて他の木に飛んで行ってフンをする。実の中の種は消化されないので、フンと一緒に木にくっつく。そしてそこから芽を出して大きくなっていく。そんな仕組みでヤドリギは増えていくようです。

センダンの実

センダン(万葉集では「あふち」)は晩秋から枝いっぱいに黄色い実をたくさんつけるので遠くからでもよく目立つ。

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他の実が鳥に食べられてもセンダンの実はいつまでも残っている。センダンの実を食べる鳥は限られているからだとか。

実の大きさは直径2センチぐらいで意外と大きく、実の中にはラグビーボールのような面白い形をした核が入っている。万葉の森公園の伎倍の茶屋ではこの核を使って数珠を作っている。こんな感じ。なかなかいいですよ。

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冬のイチョウ

葉を落とした後の冬のイチョウもいい。灰色の樹皮が青空にはえて美しい。そばに寄ってみる。幹を触ると樹皮は厚く、押すと弾力がある。イチョウは2億年前から地球にある木。このコルク質の樹皮のおかげで厳しい気候の変化を生き延びてきたらしい。イチョウを見つけたら手袋をとって幹に触ってみるのがおすすめです。(写真は浜北万葉の森公園)

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